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c1977-1979 Crown Staffordshire “Ellesmere”
クラウン・スタッフォードシャー
「エルズミア・コバルトブルー」
1977-79年に11色を製作・販売
「陶芸の里の王」ウェッジウッド傘下に
手練れの職人芸を生かした
フロレンティンの派生。見事な仕事
スキレーンのアイデアであろう
★送料は全国無料。クロネコヤマト便でお送りします。
★常時50点以上を出品中。まだ少数ですがフィギュリンも出品中(アンティーク、コレクション > 工芸品 > 陶芸 > 西洋陶磁 > ロイヤル・ドルトン)
★込み入ったご質問やお問い合わせは次のアドレスへメールしてください。(freeway@deluxe.ocn.ne.jp)
名陶「クラウン・スタッフォードシャー」(Crown Staffordshire)が1977年から1979年の間に製作・販売した「エルズミア」(Ellesmere)シリーズの「コバルト・ブルー」未使用トリオです。小さいB&Bサイドプレートで組みました。
エルズミアには、USAの未使用品専売店の写真付きリストによれば、11色(Turquoise/Turquoise&Beige/Pink/Green/CobaltBlue//Black/Olive Green/Orange/Grey/ Yellow/Yellow (Mustard Trim))あります。全色同じ期間に販売されています。
売り出しは1977年。Crown Staffordshireは1972年にウェッジウッドの傘下に入っています。ですから、エルズミア・シリーズはウェッジウッド製であり、多分、まだ自社マークで製作を続けたクラウン・スターッフォードから来た腕利きの絵付け職人たちを生かすために、ウェッジウッドが新しいシェイプのカップとデザインを彼らに付与して作らせたエポック・メイキング的なカップであった。出品者はそう考えています。
このカップは誰が見ても塗りが奇麗で、同じ手法で作られたリー&ピオニーの各色「フロレンティン」より優雅さと宝飾的高級感で上回っています。
それにしても。11色を作り貯め、一斉に売り出したわけです。こんな華々しいデザインのデビューは空前絶後でしょう。ドル箱「フロレンティン」ももしかしたら11色を上回っているかもしれないが、多色をこなすには相当年月を要している。カップ底に配する手描きの花の形も数回変えています。試行錯誤も繰り返しながら育てたシリーズ。
11色を作り貯め、一斉に販売を開始した。その後の「フロレンティン」の色の展開を考えた、「パイロット・モデル」と捉えてもイイでしょう。
随分話題にもなり、2年という短期で売り切った。2年で止めたのは既にCrown Staffordshireの名前が消えたときであり、この名で製作するものの最後のファンファーレという意味があったのかも知れません。
さて、11色(あるいはそれ以上)の多色の手塗りウェアを「陶芸の里の王」と自負した名陶の職人たちに作らせたのは誰であったか。皆様、「またかよ」の声をご準備されているかもしれませんが。そうです、それは彼の
ウェッジウッドの天才デザイナー、ヴィクター・スキレーンです。だって彼しかこんな企画を立てられる人はいないでしょう。
11色。フロレンティンと同じ仕様。神獣を水鳥に変えた。その後フロレンティンも多色を展開。神獣の絵はその昔ウェッジウッドで使われた絵であるなんてもっともらしい解説を読んできました。しかし皆さま、ウェッジウッド博物館で元絵をご覧になりましたか。重ねて問いますが、あの有名な「ナポレオン・アイビー」ってどんなカップであったか、絵か何かをご覧になったことがありますか。
ミステリアスな雰囲気を壊すようで申し訳ないが、フロレンティンの絵は、そりゃあ何処かで、美術書か何かでヒントは得ただろうが、スキレーン・オリジナルだと出品者は信じて疑いません。梨シェイプを使った「ナポレオン・アイビー」は、あれが原版だとはどこにも書いていない。「ウェッジウッドの伝統的デザインを蘇らせる」ことを命じられた(らしい)スキレーンが、古く見える梨シェイプでアイビーの葉を大きく描いたアースウェアからその「伝統」を蘇らせた。あんな斬新なデザインをセント・ヘレナに流された英雄ナポレオンに献上する時代に考えるわけがない。あれは当時斬新なデザインであった。フロレンティンやコロンビアを作りながら、スキレーンはフロレンティン風ボーダーを持つ「ルニミード」にジョサイア・ウェッジウッドが残したという貝の模様なんかを起用した。あの小さな模様ぐらいしか、「古典的なウェッジウッド・デザイン」は見当たらない。
スキレーンが心を配ったのは、1900年当時ミントンから来て「郭公」や「チャイニーズ・タイガー」を作ったアーティスト、トーマス・アレンの存在だった。
アレンは日本画風味の「ジャパネスク」や「ウェッジウッド・ブルー」を持ち込んだ。「ブルー」もはや忘れられかけていたのを復活したのはスキレーンからです。多色あるシリーズではまず最初に「ターコイズ・ブルー」を持って来て、ウェジウッド・ブルーの存在を徹底的に顧客に印象付ける。アレンという人は何しろ、「チャイニーズ・タイガー」をブルーで描いています。普通、狛犬をブルーで描こうとは普通のアーティストは思いつかない。
ウェッジウッドの紙箱がブルーなのは、そう昔からではなさそうだ。スキレーンに叩き込まれてから、会社も意識したんでしょう。
スキレーンは1965年にウェッジウッドを退職、翌年亡くなっています。エルズミアをデザインしたにしては早くなくなっているんじゃないか。出品者も以前は同じように考えていましたが、Crown Staffordshireが正式にウェッジウッドに来たのが1973年で、結構前からその行方については両社で合意に達していたはず。スキレーン自身、自分のデザインを企画して実物が大量生産され売り出されるまでには数年を要しています。「大勢の職人を雇い入れるがどう使うか」という会社の相談に対応し、計画を立てデザインし、試作品を作らせてと言うには相当年数を必要とする。特に11色を一斉販売となると、尋常な製作期間ではダメでしょう。
後任のアート・ディレクターにピーター・ウォールが昇進するのはスキレーンの死後暫くしてであるし、ピーターという人がこういう企画を立てられるとは思えない。ただ、先輩の死後その計画を律儀に、キッチリ実行できる人ではあった。
ターコイズとかグリーンを出品したはずだが原稿も写真も残っていない。随分前であったか。コバルト・ブルーは初めてだと思うのだが。
出品物を亜也褒めるのは恥ずかしい面もありますが、自分が好きだから出品しているのだから、この際、自慢ぽく書くのをお許しあれ。
久しぶりに見たがエルズミアは凄い。これは戦後だとウェッジウッド一の美しいカップである。特に、このコバルトブルーの加賀滝は素晴らしいのである。
手塗りだから、接写してアップで見ると、塗りムラありという見え方もする。しかし拡大写真に写っているような塗り斑は、目を近づけても見えはしない。フロレンティンより塗る面積が広いからか、波打つような塗り方はしていないがその塗りムラも含め、肉眼では「手塗りの美しさ」として映る。
鳥などの模様はゴールドにも見えそうなブラウンの線で描かれる。フロレンティンが神獣部分を転写し、その周囲をエナメル顔料で手塗りしたのに対して、エルズミアは茶色の細い線を手描きしている。雇い入れた職人の数が多く、また腕自慢が多いから全て手描きでやったと考えられる。
鳥の胴体にドットを入れたところは何か器具を使ったようだ。手描き部分を拡大すると、相当早く筆を動かしたと見え、そうそうキッチリと描いてはいないが、塗りと同じく、肉眼には乱れは見えない。これが手描きというものであろうヨ。
カップ内側の3段の細いラインがカップ外側からよく見える。この細いゴールドラインが相当美しく、外側のラインと重なって、エルズミアを美しい「宝飾的カップ」に見せている。実用的シェイプのリーのフロレンティンよりずっと優雅な特別シェイプを持ってきただけの効果がある。
多分これがCrown Staffordshireのマークを背負った最後のウェアであったろう。一気にこのマークで11色の輝くカップを売り出した。この成功を誰より喜んだのは、これを塗ったCrown Staffordshireの職人たちではなかったか。スキレーンのデザイン力で、彼らは自社の歴史でも成し得なかった素晴らしいカップを作って最後を飾った。
このトリオのサイズは次の通り。
カップの高さ6cm、口径9cm。ソーサーとサイドプレートの直径はそれぞれ、14cm、15.5cm。なおカップは12角形。カップもプレートもエッジの凸凹は等間隔でなく、複雑な形をしています。全て新品からストックされた未使用品。厚いボーンチャイナで、重い。
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